どんなに優秀な探偵が質の良い仕事をしても依頼者がそれを宣伝する訳でもなく、仮に宣伝したとしても親しい身内や友人であって、その友人から更に評判が広まるようなことはまずありません。
なぜなら探偵社を利用するのはごく一部の人であり、ほとんどの人には警察以上に縁がない存在です。
ですから腕の良し悪しなど、どうでもよい話で終わってしまいます。
しかし、インターネットの掲示板やクチコミサイトでは探偵社の評判を目にすることがよくあります。
特定の探偵社をベタ褒めしたり、元依頼者が掲示板上で調査のお礼をする。
本当にこんなことを、依頼者がするのでしょうか?
じつは、このようなものの多くは探偵社の自作自演といわれています。
相談者が掲示板上で質問することは稀にありますが、しかし、誰もが閲覧できる場所に
調査を頼んだはずの依頼者がお礼をするということはまずありません。
本当に感謝しているなら、探偵社に直接メールを送るか、手紙や年賀状で近況を知らせる程度です。
では、なぜ探偵社が自作自演をするのか?
それは、その探偵社の評判を上げるのに、もっとも安上がりな宣伝方法であり、効果的な方法だからです。
しかし、この方法は諸刃の剣でもありました。
いい評判を簡単に作れるということは、悪い評判も簡単に作られるということです。
あまり目立って自作自演の宣伝していると、今度は別の探偵社が元依頼者を装い、その探偵社に騙されたなどと、あることないこと中傷する書き込みが掲示板上で見られるようになりました。
いい噂はなかなか広まりませんが、悪い噂はすぐに広まります。
そのような同業者同士の中傷合戦が過去にあったことから、現在では掲示板宣伝に力を入れている探偵社はほとんどありません。
また、掲示板の書き込みの信憑性を疑う人も増えたので効果がなくなったこともあります。
もし、探偵社の評判を知りたくても掲示板の書き込みを鵜呑みにするのはやめたほうがよいでしょう。
では探偵社の悪い評判は本当にないのでしょうか?
悪質な探偵社や三流の探偵社に調査を依頼して、高額な費用の請求を受けたり、調査に失敗して散々な結果に至った人は少なくありません。
悩みを相談して解決を期待したのに更なるトラブルを抱え込むのですから大変です。
そのことを家族や他人に相談したくても、探偵社を利用したことが対象者にわかってしまう恐れや、なぜ探偵を雇う必要があったのかなど、詮索を受ける羽目になります。
探偵社を訴えたくても、弱み(プライバシーの部分)を知られているだけに、後が怖くて泣き寝入りするケースも多く、結果的に、探偵社の良い評判も、悪い評判も、広がることは少ないのが現実です。
探偵業が法制化された理由も一部の悪質な探偵社や三流探偵社による世間を騒がす事件や依頼者とのトラブルが事の発端とされており、業界全体に悪いイメージをもたらしたことは否定できません。
それによって、ほとんど多くの健全に営業を行っている探偵社も大打撃を受けましたが、現在は探偵も届出制となり悪質な業者も淘汰されてきているようです。